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〒606-8585 京都市左京区松ケ崎御所海道町
京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科
生命物質科学域 物質合成化学専攻
11号館2階 234B(今野), 234A(山田)
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有機フッ素化学を専門とし,有機フッ素化合物全般を取り扱っています!


 われわれの研究室の共通のテーマは,「フッ素含有新分子・新材料を創る」です。極めて広範な研究テーマを掲げているだけあり,新分子に対する応用分野としては多くの可能性がありますので,個々のテーマは必然的に大きく異なっています。

 

 もっとも多い研究テーマとしては,「1つの新しい化学反応について調査する」というテーマがあります。化学反応というものは,有機合成科学者にとって,目的化合物を合成するための,いわば“ツール”といえます。そうした多種多様なツールをうまく取捨選択し,使い分けることで,目的化合物を簡便かつ効率的に合成することができます。目的化合物を合成するためのツールの取捨選択には,「その化学反応がどのような性質をもっているのか」,つまり,「どのような構造の化合物に対して適用できるのか」という情報が極めて重要になってきます。そうした情報のことを,われわれは“適用限界 (Scope & Limination)”とよびます。「1つの新しい化学反応について調査する」という研究では,まずその化学反応が最も高い収率で生成物を与えるための“最適条件”を見出さなくてはなりません。次に,さまざまな構造の化合物 (けれども,その化学反応の性質を理解する上で十分な最低数の化合物) に対して,その最適条件下で反応を行い,化合物の構造と化学反応性との相関関係を明らかにしていきます (これを適用限界の調査とよびます)。この研究テーマでは,目的化合物を明確に設定するのではなく,自分でない他の第3者がその反応を使用するにあたって,反応を行う前に,自身が用いる化合物 (基質) に対して,反応がうまく進行するか,あるいは進行しないかを判断できる情報を提供することが目的です。


 その他のテーマとしては,「目的化合物を設定し,自身で考えた合成計画にしたがって,目的化合物を合成する」というものです。この場合,新しい反応は必要ではなく,既存の反応にしたがって,より簡単かつ,より短段階で合成できる反応工程を見出すところに醍醐味があるといえるでしょう。合成した化合物は,それぞれの目的に応じた分子物性を測定し,機能評価を行います。分子物性評価では,他大学の研究者あるいは企業に依頼することもあります。
 このように,われわれの研究室ではあくまで有機合成化学を基盤とした研究テーマを行っており,低分子から高分子まで幅広い研究を取り扱っています。

有機フッ素化学研究室へ配属希望の学生諸君へ


 科学という学問全てに共通することですが,われわれの研究でも「普遍性」のある新事実を発見・解明するため,日夜努力を続けています。そうした新事実というものは,自分自身にしかできないようでは,誰も素晴らしいと認めて利用してくれたりはしません。また,1回きりの実験で得られた事実であってもいけません。つまり,誰もが,いつでも再現できる実験でなければなりません。したがって,全く同じ実験を何度も何度も行ったりしますし,新しい化学反応となれば,その反応の適用限界 (前述:どのような構造の化合物がその反応に利用できるのか?どのような置換基が化合物の骨格中に存在すると,反応が進行しないのか?などといった,第3者が自分の創りたい目的化合物のためにその方法を使おうとする場合,反応がうまく進むか進まないかを判断する材料) を詳細に調査します。したがって,地道な努力の上に,一つの研究成果が成り立っているわけです。
 研究室で行う研究は,これまで誰も行ったことのない研究となります (もちろん,類似の研究は存在するでしょうが,全く同じ研究ではないので結果が異なることは日常茶飯事です)。学部3回生までの学生実験のように,すでに先人たちにが何百回,何万回と追試実験を行っていて,その反応において特に気をつけるべき点,その操作を怠ると反応がうまく進行しない点などが十分に明確になっているような,必ずうまく反応が進む実験とはわけが違います (そうした実験さえも,学生実験の時に失敗したりしていませんでしたか?そうした失敗は,1つ1つの操作を十分に理解していないことから発生したものです)。1回の実験で素晴らしい結果が得られるものなどありません。たとえば,新しい反応を見出した場合には,さらに化学収率を向上させるために,反応条件の検討を行います。反応温度を極低温 (–78 °C) から加熱還流温度へと変化させたり,反応の進行具合を調査したり,あるいは反応溶媒を極性溶媒から非極性溶媒へと変えて,最適な反応溶媒を探します。また,その反応に使う化合物のモル比なども種々変えて検討します。化学反応にはたくさんのパラメーターが存在するために,そのパラメータを種々変えて,各パラメーターのベストコンディション,つまり最適な反応条件を見つけることが大変なことは,すぐにわかるかと思います。
 このように膨大な時間 (実験ならびに調査) と多くの努力の結果,ようやく1つの結果が得られることなどは日常茶飯事です。そして,夜遅くまで研究を続けることが必ずしも良いことではありませんが,行うべきことが多すぎて必然的に研究時間が長くなります。したがって,当研究室では有機合成や機能特性に興味をもち,粘り強い学生を望みます

有機フッ素化学研究室へ配属されたら...


 研究室では,毎週月曜日と火曜日 (教員の都合により変更される場合もあります) に主要な外国語論文の紹介 (CT: Current Topics) ならびに有機化学に関する勉強会を行っています。
 外国語論文の紹介では,最近の外国語論文を各自で選び,その内容を十分に理解し,あたかも著者のように皆の前で発表します。そして内容に関しても多くの質問を受けます。こうした質問に対して的確に答えるには,各自で選択した論文のみを読むだけでは不十分です。その論文の中には,自分の知らない専門用語,反応,概念などが説明もなしに記述されています。したがって,これらを全て理解した後にようやくその論文の本質を理解でき,そして質問に答えられるようになるのです。そのため,1つの論文を十分に理解するには5~10報もの論文を読まなければならず,非常に多くの時間が必要となります。


 この外国語論文紹介では,①新反応あるいは新材料に関する論文,②天然物の全合成に関する論文,③有機フッ素化学に関する論文,の3つのテーマが決められており,そのテーマにあった最近の論文を全員が1つずつ選びます。こうした方針を設けている理由は,1つの素反応について取り挙げることで,反応機構解明の方法や研究の展開方法を学べますし,天然物の全合成を取り挙げることで,多くの反応を紙面上で体験できるためです (学生時代に実際に実験する反応など決して多くありません)。また,フッ素化学における最新トピックに触れることができるからです。
 一方,勉強会では,多くの著名な人名反応,特異な効果などを調べたり,あるいはもっと一般的な話題,たとえば有機ELや太陽電池などの仕組みならびに現在の状況について調べたりします。
 大学院生は,上記の外国語論文紹介に加え,ある一つのトピックについて,より深く,総説のようにまとめあげて発表しなければなりません (これをGCT: Graduate Current Topicとよんでいます)。基礎的な知見拡大に繋がるだけでなく,他人の研究をまとめあげる能力が身につきます。
 また,自身の研究成果を発表する場も設けています (これをCR: Current Researchとよびます)。概ね,5月,7月,10月,12月に開催され,自身の研究成果をスライドにまとめ,皆の前で発表します。研究成果がまとまれば,学会発表も行います。当研究室では日本化学会春季年会 (3月) やフッ素化学若手の会 (7–8月),フッ素化学討論会 (9–10月) に参加します。研究成果によっては,液晶学会討論会 (9月) にも参加・発表します。
 こうした学術面以外のイベントとしては,新歓コンパ (4月),野球大会 (6月, 10月),就職・進学内定コンパ (8月下旬),講座旅行 (9月),忘年会 (12月),追い出しコンパ (3月) なども開催しています。

当研究室卒業生のその後...

学部卒業生のほとんどが大学院進学

 学部3回生の1月に研究室配属が決定します。その後,4月から研究が開始され,1年間卒業研究を行います。そして就職ならびに進学となります。
 その後,就職あるいは他大学の大学院へ進学する学生もおりますが,当研究室配属学生のほとんどが本学大学院へ進学します。博士前期課程の2年間を過ごしたあとは,ほとんどの学生が化学メーカーへ就職します。研究へ関心を寄せる学生は博士後期課程へと進学し,さらに3年間,自身の研究を行い。博士後期課程の3年間の研究生活のあと,博士の学位を取得します。その後,化学メーカーへ就職したり,ポスドクとよばれる博士研究員として大学あるいは研究所などで研究する卒業生もいます。
当研究室の卒業生は,学部・修士課程・博士課程修了者のいずれも,さまざまな分野の第一人者として,現在活躍しています。

化学メーカーへの就職

これまでに当研究室を卒業した方々の就職先は以下の通りです (五十音順):
荒川化学工業株式会社 / 池田模範堂 / 石原産業株式会社 / エスケー科研株式会社 / 株式会社I.S.T. / 株式会社大興製作所 / 株式会社ダスキン / 株式会社ニチリン / 大阪ガスケミカル株式会社 / 株式会社片山製薬所 / 金井重要工業株式会社 / 関西ペイント株式会社 / 互応化学 / サカタインクス株式会社 / サンテックオプト株式会社 / JNC株式会社 / 住友ゴム工業株式会社 / 住友ベークライト株式会社 / 積水化学工業株式会社 / セントラル硝子株式会社 / 田岡化学工業株式会社 / ダイキン工業株式会社 / 東京応化工業株式会社 / 東ソー株式会社 / 東洋インキ株式会社 / 東洋紡株式会社 / 東レ株式会社 / トヨタ自動車株式会社 / 日油株式会社 / 日本ペイント株式会社 / 日立化成ポリマー株式会社 / 株式会社ベルクシープラス / 三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社 / ライオン株式会社 など。
教育機関で活躍されている卒業生もいます (岐阜大学 / 東京農工大学 / 琉球大学など,他に高等学校なども)。